障害のある子どもを持つご家庭にとって、
「将来、この子は大丈夫だろうか?」
という不安は常に頭をよぎるものです。
親が元気なうちは、生活のサポートや金銭管理をしてあげられますが、いずれ親が高齢になったり、
亡くなったりしたとき、子どもが困ることのないように準備をしておくことはとても大切です。
そんなときに活用できるのが
「家族信託」
家族信託とは、自分の財産を信頼できる家族に託し、決められた目的に沿って管理・運用してもらう制度のこと。
特に、障害を持つ子どもがいる家庭では、その子の生活を長期的に守るために、とても有効な手段となります。
今回は、家族信託のメリットを詳しく解説しながら、
障害のある子どもを持つ親御さんにとって、
どのように役立つのかを考えていきたいと思います。

1.親亡き後も安定した生活を守れる
障害のある子どもがいる家庭にとって、
最大の心配は
「自分がいなくなった後、
子どもが安心して暮らせるか」
遺言を作成する方法もありますが、子ども自身に管理能力がない場合には適切に財産を運用するのは困難です。
家族信託では、財産の管理を信頼できる家族(例えば、健常な兄弟や親戚)に任せることができ、親が亡くなった後もその子の生活を安定して支えていく仕組みを作れます。
例えば、信託契約の中で
「毎月一定額を生活費として渡す」「医療費は必要に応じて支出する」
などの条件を決めておくことで、計画的に財産を活用し、子どもが困ることのないようにできます。
2.成年後見制度の代替手段となる
障害のある子どもが成年後見制度を利用することもありますが、この制度にはいくつかの制約があります。
例えば、成年後見人には裁判所の監督があるため、自由な財産管理ができず、家庭の事情に柔軟に対応するのが難しい場合があります。
一方で、家族信託は親が元気なうちに契約を結び、信頼できる家族に財産を管理してもらう制度なので、裁判所の監督なしに、より自由で柔軟な対応が可能です。
子どもが通う福祉施設の費用を支払う、急な医療費が必要になったときに対応するなど、状況に応じてスムーズに資金を使うことができます。
3.財産の浪費や詐欺被害を防ぐ
障害を持つ子どもが相続した財産を適切に管理できるとは限りません。
悪意のある第三者からの詐欺や、高額な買い物などによる浪費のリスクも考えられます。
家族信託を利用すれば、財産の管理を信頼できる家族が担うため、
子どもが不用意に大金を使ってしまう心配がありません。
例えば、「月に〇〇円までしか引き出せないようにする」
「特定の目的以外では財産を使えないようにする」といった形で、ルールを決めて管理できます。
4.障害年金と生活保護のバランスを考慮できる
障害のある方の多くは、障害年金や生活保護などの公的支援を受けている場合があります。
しかし、まとまった財産を相続するとそれらの支援が受けられなくなる事があります。
家族信託を活用すれば、子どもの名義で大きな財産を直接持たせるのではなく、
必要なときに必要な分だけ受け取る仕組みが作れます。
これにより、障害年金や生活保護を維持しながら、親の財産を無理なく活用することが可能になります。
5.親が認知症になっても安心
高齢になると親自身が認知症になり、財産管理が難しくなることもあります。
通常、親が認知症になると銀行口座が凍結されるなど、子どもが資金を動かせなくなる可能性があります。
しかし、家族信託を活用しておけば、親が認知症になったとしても、
信頼できる受託者(例えば、子どもの兄弟姉妹)が管理を続けることができるため、
子どもの生活を守ることができます。
まとめ
障害のある子どもを持つ親にとって、将来の不安を少しでも軽くするために、
家族信託は非常に有効な手段の一つです。
・親亡き後も、安定した生活を守れる
・成年後見制度に比べて、自由で柔軟な管理ができる
・詐欺被害や浪費を防げる
・ 障害年金や生活保護を維持しながら財産を活用できる
・親が認知症になってもスムーズに財産管理ができる
家族信託は、親が元気なうちに準備することが重要なポイントです。
子どもの将来に安心できる仕組みを整えておくことをおすすめします。
障害のお子様を持つご家族はもちろん、
高齢化社会を迎える日本において、非常に重要な役割を果たす手段として注目されています。
家族信託は必ず知識のある専門家に任せる事もポイントの一つです。
「この子の将来が心配…」と感じている方は、一度家族信託についてクレール法務事務所にご相談ください。
家族信託に詳しいクレール法務事務所が全力でサポート致します。
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